元来、日本のお通夜や告別式とは1日で終わらせるものではなく、しっかり時間をかけて行うものでした。親戚や知り合いが集まって故人と向き合い、故人について語り合い、だんだんと喪失感を癒していくものでした。
つまり故人のための儀式というよりも、残された人たちが気持ちを整理し死者への執着を絶ち、心を立て直すための儀式という意味合いもあったのです。
仏教では、死後四十九日間は前世までの報いが定まり、次の生に生まれ変わる期間でその間死者の魂はこの世に彷徨っているとされます。
しかし本当は、喪失感から彷徨ってしまうのは故人ではなく残された人の方かもしれません。初七日から数えて1週間ごとの法要があったのも、7週間(四十九日)ほどかけて気持ちを整理し、心に「区切り」をつける期間だとも考えられます。
本来しっかり時間をかけて行うべき悲しみと再生の時間が、現在では感染症や様々な諸事情により、できなくなってしまっています。
その大切な時間を取り戻すことができないか。
「つづる物語」をともに創ることが、そのきっかけになればと願っております。